追憶のひと・・・

あるひとを思い出しております。

土曜日の午後6時5分からの NHKの番組
「みをつくし料理帖」というドラマ ご存じですか?
わたしは 今は ほとんどTVドラマを観ていないのですが
これだけはと思い 観ています。

というのは このドラマの原作である
「みをつくし料理帖」という物語に 思い出があるから。

みをつくし料理帖(全10巻)+みをつくし献立帖(1巻) (ハルキ文庫 た  時代小説文庫)

「みをつくし料理帖」  高田郁氏の作品です。
あるひとに会うまで この時代小説を全く知りませんでした。
作品名はもちろん 作家の名前も。

でも ある時 この本のことを教えて下さったひとがいたのです。
その方を Aさんといたします。
Aさんとは 勤務先で お会いしました。

    🍃

わたしは 病院に 心理職として勤務しているのですが
仕事の中で 多くの患者さんやご家族とお会いしてきました。
そのみなさんから 実に多くのことを学ばせて頂いている。
Aさんは その患者さんのおひとりでした。

あの時から もう3~4年経つでしょうか。

心理職としての守秘義務がありますので 
詳しいことを書くことはできませんが 
「みをつくし料理帖」のドラマを放送することがわかってから 
あらためて Aさんのことを思い出さない日がなかったほど 
彼のことが 脳裏によみがえってきました。
それぐらい 
彼との出会いが 印象に残っているからです。

彼は 60代 癌の末期の患者さんでした。
奥さまと死別されていて ひとり暮らしのまま 
ずっと在宅で 闘病を続けていました。 
いよいよ最期の時を病院でと 入院されたのです。

窓辺の花

初めてお会いした時から いろいろなことを率直に話されたAさん。
従事していた仕事のこと 発病からの経緯や在宅での闘病の様子 
お子さんのことなど 様々な事を話してくださった。

病気になって失った多くのものに思いを馳せながらも 
病気になってこそ得られた愛おしい時間のことを
あれこれと語られたAさん・・・
もうすぐ人生の最期を迎えんとする時 
深い絶望感や孤独感の中におられたであろう Aさん。

でも Aさんには ある希望があったのです。
それは 死後の世界の存在・・・身体は消滅しても 
自分はあちらの世界でまた生きることができる 
その思いが 彼を支えていたといっても過言ではない。
繰り返し繰り返し そのことを語って下さった。
わたしも いつかAさんのように 
自分なりの死生観をもつことができるようになりたい 
そんなふうにも思いながら お話を傾聴しました。

時々痛みが出て苦しい時以外は 
Aさんはいつも笑顔で 看護スタッフと話をしていました。
話の内容が面白いから ついつい笑いの起こる病室・・・
緩和ケアを受けながら Aさんは 不安感はあったものの 
ご自分なりの死生観をもつことで 
死の恐怖に押しつぶされてしまうことなく 
日々 過ごされていたのです。
 
彼は 在宅時に観ていた映画や
読んでいた小説のことを教えてくれました。
その中には 彼の大好きなSF小説や政治小説 
さらに死後の世界に関する本もあり・・・そして 
先ほどの「みをつくし料理帖」があったのです。

わたしは 早速
「みをつくし料理帖」の文庫本を買って読みました。
Aさんを虜にしている時代小説は いったいどんなものなのか。
なんと それは 
一度読んでみたら 次が読みたくなるような素敵な物語でした。

澪さんという料理人と周囲の人達との人情話。
料理もたくさん出てきて 料理好きにも面白いお話です。
読後は 時々切ない涙は出るものの こころほんわかします。

Aさんは 在宅時 その本に出てくる料理を
いくつか作ってみたと言っていました。
巻末にレシピが載っているんです。

     🍃

そのように 
痛みが緩和され お元気にしていたAさんにも 
最期の時がやってくる・・・ あまりに無念なことではあるけれど
・・・彼は 旅立っていかれました。

Aさんの最期の時 わたしは お会いすることができなかった。
日曜日に亡くなられたからです。
月曜日に出勤して そのことを聞いた時は まさかと思いました。
だいぶ弱られてはいたけれど 
その日も Aさんのお顔をみることができると思っていた・・・
状態が急変して 亡くなられたのです。

Aさんは 駆けつけたお子さん達に見守られて
本当に安らかに 息を引き取られたそうです。

Aさんのいらっしゃらない空いた病室に入ったわたしは 
涙があふれました。
彼とかかわらせて頂いた 数週間のことが甦り 
お別れの寂しさと 感謝のこころでいっぱいになったのです。

わたしは Aさんとの出会いの中で 
いろいろなことを学ばせて頂きました。

生と死 どのように生きて どのようにこの生を閉じていくのか
そのような大きな課題について 
自分自身のいのちと生き方に向き合う時間を 
Aさんは わたしに下さったのです。

   🍃

Aさんの生命は 終焉を迎え
肉体は もろくも消えてしまったけれど 
彼がこの世に存在した意味 
彼が大事にしていた価値観 すなわち いのちは 
ご家族や周りのひとに引き継がれ つながっていく。
Aさんの生命は人生を全うされたが 
彼のいのちは 無限に生きて つながっていく。
生命のつながりは切れても いのちのつながりは切れない。
Aさんのように 死後の世界を信じるひとにとっては
いのちはつながっている。
それは 再会という希望をもたらすのです。

わたしが 今こうして 
Aさんのことを書かせて頂いていることも
いのちをつなぐことになるのかもしれません。

Aさんは 生命を終えたひと
そして 
わたしもやがて 生命を終えるひと
それは 間違いありません。

わたしの「いのち」も また 誰かにつながる「いのち」だとしたら
生きること そして 生命を終えること
そのこと自体が とても意味のあることのような気がします。
「生命」は有限だけれど 
「いのち」は無限につながっていくのではないかと思うから。

追憶のひと それは Aさん
今 あらためて
感謝の気もちで 胸がいっぱいになる。

Aさん ありがとうございます。

あなたのいのちは 
つながっていきます💛



           おり~ぶ



今日も おつき合い下さいまして ありがとうございます  

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  本日は 諸事情により 
  コメント欄 閉じさせて頂きますねm(__)m



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